【中編:フレームサイズ選択】からの続き、この【後編】で完結です。
メカニックの方にサドルのセッティングを細かく設定していただいて、フィッティング良好なフレームサイズ『M』にてXCコースを試走します。コースは初心者でも走れるフラット基調。路面はドライで、テクニカルなガレ場はありません。
コースに入る前に、芝の上でかるくバイクを左右に振ってみると、自然にバイクがリーンしていく。『これが29erのフィーリングなのか!』と驚く。
そして低い斜度のフラットコースからF-Siを走らせていきます。コースは2週間前に野焼きされ、硬い小幹によって転がり抵抗がすこしあるが、大径ホイールは影響を受けることなくすすむ。そして動き始めた29インチホイールは、自然の起伏をそこそこのペダリングで進めてくれる。また、バイク全体で感じられる車体の軽やかさは、非常に分かりやすいフィーリングとして身体に伝わってきます。
ドライブトレイン 1 × 11の登坂
斜度が少し高いフィールドを登るシーンでは、フロントチェーリング32Tとリアコグ10-42Tによって楽に登坂ができます。ちなみに、私は脚力が弱いほうなので『1 × 11(ワン・バイ・イレブン)※1』といったレースに特化したギア構成は敬遠したい派です。
しかし、シッティングでも非常にゆっくりではありますが、脚に重い負担がのこらず登坂できたところは好感がもてます。【※1:フロントディレイラーは別売のディレイラーマウントを使用することで装着できます】
この、登りの軽さについては、超軽量なサスペンションやフレームの効果も高いですが、『ENVE(エンヴィ)』を採用したホイール周りのおかげもあって、スムーズな登坂を実現できたと思います。CARBON TEAMに採用されるリムは『ENVE 29 XC, GEN2, CARBON』です。このリムは382gと、強度を高めた29インチホイールから考えると、かなり軽量なスペックになっている。
このホイールに装着するタイヤは『SCHWALBE RACING RALPH EVO SNAKESKIN, 29X2.1 TUBELESS READY』とチューブレス対応。試乗に使用したタイヤがチューブレス仕様だったか確認忘れましたが、転がり抵抗は低く、しなやかなフィーリングでした。
F-Siのハンドリング
さて、そこそこ登ったので下りのセクションに入ります。
下りのイメージは、S字カーブの連続で大きいスラロームにちかい。コーナの途中に小さいキャップや逆バンク、それに段差があるヘアピンカーブ。それに少しの凸凹があるかんじ。
S字コーナーでは、バイクを倒す起こすを繰りかえす切りかえし操作ですが、さきほど芝生の上でスラロームしたときと一緒で、バイクを『倒す、起こす』の動作に、29er特有の粘りある抵抗がありません。なので、コーナリング途中でもバイクの倒し込み加減の変更もスムーズ。これは素晴らしいハンドリングです。
以前、乗ったGARYFISHER(ゲーリー・フィッシャー)の29erは、コーナリングでは意識的にバイクの倒し込みが必要でした。しかし、F-Siは26インチホイールMTBと変わらない自然な感じでバイクが倒れ、そして起こすことができる。これには非常に感動しました!
こんな絶妙なハンドリングなので、段差のあるヘアピンはサッと倒し込み、段差は29インチホイールの走破性にまかせれば楽々クリア。つづく凸凹も、サスペンションとフレームが振動吸収の仕事をしてくれるのでペタリングしたままで通過できました。
「おお!F-Si。すごい良いバイク!!!」と、感想はこれで終わらない。バイク切り返しの軽さに感動してて忘れそうになるのが、もうひとつあります。
F-Si CARBON TEAMは、ワールドカップでもプロライダーが使用するフラグシップモデルなのですが、超軽量ピュアレーサーでも乗り心地を犠牲にしていないこと。最近は、カーボンフレームの設計技術の向上で、フレームの箇所によって剛性と高めたり、振動吸収性を高めたりと『足し引き』が可能になっています。F-Siでは、路面からのインパクトに対して、シートポストまで振動吸収箇所に加えるなど、衝撃負担の軽減に相当力を入れて設計しているのも試乗で確認できました。
と、こんな感じで3回にわたって、私が感じたままの試乗記にしてみました。こんな駄文は参考にならないのは仕方ありませんが『百聞は一見にしかず』です。cannondaleの試乗会が開催されるのであれば、遠方地であっても行って乗ってみる価値は大アリです!
今回の試乗に対して、山本和弘氏とキャノンデールスタッフの方々に深く感謝いたします。地方での濃い試乗会を有難うございました。
追記【ハンドルバーの幅】
F-Siのコース試乗では、KAZUさんに後からライディングをチェックしていただきました。KAZUさんからの指摘は『ハンドルバーが広すぎるので、上半身をつかう力が抜けている』とのこと。対処法としては『700ミリあるハンドルバーを適切な長さにカットする』ということでした。
700ミリ幅のハンドルバーは、身長180センチあるライダーが操作しても問題のない幅、166センチの私がフィットするのは難しいでしょう。このあたりは660ミリあたりで詰めていけばベストポジションが見付かりそうです。